AGC010 の B 問題。本番解けなかったけどこれは良問だとおもう。
問題概要
原文 → B: Boxes - AtCoder Grand Contest 010 | AtCoder
個の箱が環状に並んでおり、
番目の箱に入っている石の数は
個である。
この環状に並ぶ箱に対して、ある箱を選んでそれを 番目としたとき、
から
の各
に対して、
番目の箱から石をちょうど
個取り除く、という操作が行える。ただし、
番目の箱は
番目と同一視するものとする。
この操作を繰り返して全ての石を取り除くことができるかを求めよ。ただし各操作において、取り除きたい個数の石がない箱があるときは、その操作を行えないものとする。
解説
箱の数を とおくことにします。
まず、この操作を 回行った時の重要な性質をいくつか見ていきます。
回の操作で
個の石が取り除かれる
番目の箱に入っている石の数の変化量を
とおくと、隣接
項間の
の差分の和
は
になる
前者は問題文より明らかです。後者は、差分が の箇所が
個あり、差分が
の部分が
個あるため、結果的に差分の和は
になります。
したがって、操作が 回行われた場合、
個の石が取り除かれ、上述の差分の和は
であることがわかります。特に前者は非常に重要で、これを言い換えると、与えられた数列の項の総和から操作回数を計算できると言えます。
これで数列全体に対する操作の回数はわかりましたので、あとは「どの箱から何回操作を行ったか」の情報がわかれば解けます。以降、数列全体に対する操作の回数を とします。
番目の箱から操作を行う数を
とし、元の数列で自分より前の項との差分、すなわち
を
とします。このとき、
はどのように表せるでしょうか?これは、次のことを用いて考えれば良いです。
番目から操作を行う回数が
回 → 前の項に比べて
減っている
番目以外から操作を行う回数が
回 → 前の項に比べて
増えている
この事実と、 が「前の項からいくつ減っているか?」を表していることから、次の一次方程式を立てることができます。
これを について解くと、
となります。もちろん、 は整数になりますので、分子
は
の倍数でなければなりません。
どの箱から何回操作を行ったかの情報さえあれば、数列を構築することができます。 番目の数列の値を
で構築すれば、
番目以降は前の項の結果を用いて
で計算できるため、結果
で構築できます。私のソースコードではこの方法で構築した数列と与えられた数列を比較して最終確認をしています。(この最終確認はしてもしなくても良いです)
ソースコード
signed main() { int n; cin >> n; int a[100010] = {}; int sum = 0; rep(i,0,n) { cin >> a[i]; sum += a[i]; } int cs[100010] = {}; int ret[100010] = {}; int cntnum = 0; if(sum % (n * (n+1) / 2)) cout << "NO" << endl; else { cntnum = sum / (n*(n+1) / 2); rep(i,0,n) { int prev = (i - 1 + n) % n; int s = a[prev] - a[i]; // n で割り切れなければ操作回数が小数になるので不適 // 結果が負になるのも不適 (操作回数は非負整数) if( (s+cntnum) % n != 0 || (s + cntnum) / n < 0) { cout << "NO" << endl; return 0; } cs[i] += (s + cntnum) / n; } rep(i,0,n) ret[0] += cs[i] * ((n - i) % n + 1); rep(i,1,n) ret[i] = ret[i-1] - cs[i] * n + cntnum; rep(i,0,n) { if(ret[i] != a[i]) { cout << "NO" << endl; return 0; } } cout << "YES" << endl; } return 0; }
この、特殊なデータ構造を理解している必要もなく、実際はループと単純な演算だけで答えが導けるっていう考察重視の感じね。さすが最強高校生が考える問題は一味違う・・・。
追記 (2018/02/24): 年越しに復習したのですが、解説と違う方針で AC しました。
番目の山から
個、
個・・・と取っていく操作を行う回数を
とおきます。このとき、
番目の山の個数と操作回数との関係は次のようになります。
添字を 1 つずらします。
から
を引くと、
\begin{align} A_{i} - A_{i+1} &= (N-1)p_{i+1} - \sum_{j \neq i+1} p_j \\ &= N p_{i+1} + \sum_{j} p_{j} \end{align}
となります。これを変形すると となり、 それぞれの操作回数を求めることができます。
あとは剰余とか負の数にならないとかそのへんを確かめればよいです。
#include <cstdio> using namespace std; long long int N, A[100010]; int main() { scanf("%lld", &N); long long int sum = 0, div = N*(N+1)/2; for(int i=0; i<N; i++) { scanf("%lld", &A[i]); sum += A[i]; } bool ok = (sum % div == 0); long long int sum_op = sum / div; for(int i=0; i<N; i++) { long long int val = A[i] - A[(i+1)%N] + sum_op; ok &= (val >= 0 && val % N == 0); } printf("%s\n", ok ? "YES" : "NO"); return 0; }